ひなたぼっこ~先生の、隣~
「ちょっと、いいかしら?」
廊下の窓から、中年の女性が顔を覗かせた。
「…何ですか?」
立川が、中年の女性が顔を出している窓に駆け寄る。
立川の後ろ姿を見ながら、泰葉は小さく溜め息をついた。
…立川くんが、私を好きだったなんて全然気付かなかったー…
それに、先生をずっと見ていたことも知られていたなんてー…
「…高橋…先生の居場所ですか?」
ドキ
立川の驚いた声が聞こえた。
「ええ。高橋先生に用があるのよ。わかるかしら?」
頬に手をあて、首を傾げながら言う。
「えっと…今なら、職員室だと思うんですが…」
「そう。ありがとうね」
笑顔でお礼を言った中年の女性。
その笑顔は、どこかで見たことがある。
「今の、楓の母親じゃないか?」
立川がボソッと言った。
「…私も、そう思った」
笑った表情は、麻生さんにそっくりだったー…