ひなたぼっこ~先生の、隣~
「あ…あの!」
廊下に響くぐらい大きな声で、叫ぶ。
「あら…さっきの…」
泰葉の声に振り返ったのは、麻生の母親。
「何か?」
「えっと…」
額にうっすらと汗が出たのを手で拭う。
「た…高橋先生、数学準備室にいるってことを忘れてました」
「…あら」
「すいません。数学準備室まで、案内しますね」
軽く会釈をすると、数学準備室へ促す。
「…悪いわね。ありがとう」
「いえ…」
麻生の母親の少し前を歩き、数学準備室に向かう。