ひなたぼっこ~先生の、隣~
「…高橋先生、どういうことですか?」
職員室に入ると、緊迫した雰囲気が感じとれた。
「…何のことでしょう?」
どうしてそういう雰囲気なのか、まだ状況がつかめない。
「さっき保護者から電話がありました」
「保護者の方からー…?」
まさか…
この間の状況が頭を過ぎった。
「"生徒の家庭の事情に、あまり首を突っ込まないように注意してください"と言ったはずですけど」
「…すいません」
学年主任に頭を下げる。
「それだけならまだしも…"今の先生は、生徒と付き合うんですか!?と、言われてしまいました」
「…すいません」
頭を上げることができない。
「高橋先生」
「教頭…先生」
頭をあげると、目の前に眉間にシワを寄せた教頭の姿があった。
「生徒のために一生懸命なのは良いことですが、こういった誤解も生まれてしまうことは承知の上でしたよね?」
「…はい。申し訳ございません」
「まぁ…誤解かどうかもわかりませんけど。前にも一回、生徒と噂になりましたから」
「…すいません」
「とにかく、もう生徒の間で噂は広まっています」
「はい」
「しばらくの間は、授業に出なくていいです。それと、生徒たちと関わることも自粛してもらいます」
「…わかりました。ご迷惑をおかけして、申し訳ございません」
深く深く頭を下げ、職員室から出た。