ひなたぼっこ~先生の、隣~
傷つけるもの
麻生さんと先生の噂は、学校中に広まった。
しかも、真実ではないことが大きくなってー…
麻生さんがこのことを、どう思っているかはわからない。
けどー…
きっと、今いちばん辛い立場にいるのは先生だ。
「泰葉聞いた!?」
教室の自分の席で座っていると、香奈が血相を変えて駆け寄ってくる。
「高橋、しばらく学校に来ないんだって!!」
「え…?」
学校に来ないってー…
泰葉の顔が曇る。
「生徒と接するのを禁止されてるらしくって、授業も出ないんだって!」
「そんな…」
「ま、自業自得じゃない?」
後ろから聞こえてきた低い声。泰葉と香奈は、その声に勢いよく振り返った。
「…立川!」
香奈が叫ぶ。
「…どうして、そう思うの?」
泰葉は静かな口調で、立川の言った言葉に問い掛ける。
「…」
その問い掛けに立川は一瞬、眉間にシワを寄せた。
「だったら…」
やっと口を開いたのは、問い掛けから数秒が経った頃だった。
「妹尾さんはどうして、今だに高橋を好きでいられるの?」