ひなたぼっこ～先生の、隣～

「おい、呼び捨てすんな。"先生"を付けろって言っただろう？」


いきなり声が聞こえたと思ったら、香奈の背後から高橋先生が出てきた。

「あれ…高橋先生、もう帰るんですか？」

「あぁ、今日は早く帰れる日なんだ。それと、安川が傘忘れたから"送って"って、うるさくて」

"はぁ…"と大きな溜め息を交じに、先生が言う。


「クッキー、あげたじゃん！ところで、泰葉は立川と帰るの？」

香奈はニヤリと笑い、立川と泰葉を交互に見ている。

「傘忘れたから、妹尾さんに駅まで入れてもらおうと思ったんだ。だけど…」

「相合い傘じゃん！！大丈夫、立川と泰葉ならお似合いだよ～」

立川の話を最後まで聞かず、勝手に盛り上がっている。

お似合いって…先生の前ではー…


「付き合っちゃ…」

「お前らも、乗ってくか？」

香奈のお喋りを遮ったのは、今まで黙って聞いていた先生だった。

「雨もさっきよりヒドくなってるし、一本の傘に２人じゃ、濡れるだけだろ？安川のついでだ、乗ってけ」

「え…」


「えーー！？」

思いっきり、嫌そうな表情をした香奈。


「先に、駐車場で待ってろ。職員室寄ってから、すぐに行く」

そんなこと気にしていないのか、先生は職員室に行ってしまった。