ひなたぼっこ~先生の、隣~
駐車場に着いても、香奈はまだ納得いっていない様子だった。
しばらくして先生が職員室から戻ってきた。

「私、助手席!」

先生が車のドア鍵を開けると、すぐに香奈は助手席に乗り込んだ。

そうなると、泰葉と立川は後部座席に座ることになる。


「安川って、高橋のこと好きなの?」

車に乗る前、立川にそう聞かれたが苦笑いで答えるしかなかった。


前の座席では、先生と香奈が楽しそうに話している。
いつもより高い、香奈の声。
いつもはたくさんの生徒の相手をしている先生が、一対一で話している。

「・・・」

こんなに居心地が悪く感じるなんてー・・・

「えーーー!!!どうして、私が最初なの!?」
「!?」

急に、大きな声が車内に響いた。

何事かと思い、俯いてしまっていた顔を上げる。

「道順だから、しょうがないだろう」

「ドライブしようよ!!」

「アホ。こんな雨の日に、ドライブに行くバカがどこにいる」

「ここにいる」

「くだらないこと言ってないで、さっさと降りろよ」

「えーー・・・わかった」

「じゃあな。風邪ひくなよ」

「ん。今度は、ドライブ行こうね」

「はいはい」

「泰葉、また明日ね」

「あ、うん。ばいばい」

手を振りながら、香奈が車から降りた。

先生は、香奈が家に入ったのを確認すると車を発進させた。





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