ひなたぼっこ~先生の、隣~
「高橋…」
「あ?」
「…ごめんね」
さっきとは打って変わり、トーンが下がった声で麻生が喋る。
「…何が?」
「私のせいで今、処分を受けてるんでしょ?」
「…お前のせいじゃないよ」
「でも!」
「俺が悪い」
言い切ると、麻生は黙った。
車内に重い空気が漂う。
「…高橋はあの時、先生として側にいてくれるって言ったの?」
少しの沈黙の後、先に口を開いたのは麻生。
"あの時"のことは、今でも鮮明に覚えている。
屋上で麻生が飛び降りようとした時、咄嗟に出た言葉だったー…
「…あぁ」
「じゃあ、私が引っ越すかもしれないって言っても…引き止めてはくれないの?」
「…俺には、引き止める理由はない」