ひなたぼっこ~先生の、隣~
「…引っ越すこと、私は賛成だよ」
「楓…」
「でもね、これだけは聞いて欲しい」
喋る前に深呼吸をするのが、後ろから見ていてもわかった。
「私は…お母さんが思っているほど、理解のある子供じゃない」
「楓…」
「本当は…」
麻生の体が震えている。
「ずっと、寂しかった」
麻生の言葉に、母親は目を見開いた。
「頼りにされてるのは嬉しかった…だけど、私が辛い時ー…誰も私を見てくれなかった」
母親を口元を手で抑え、目には涙が溜まっている。
「それが、すごく寂しかった」
母親の目から次々と、涙が零れ落ちる。
「でも、言えなかった。私までお母さんに迷惑かけたくなかったから」
麻生の声が徐々に涙声に変わるー…