ひなたぼっこ~先生の、隣~
「あ!そうだ!!!」
青信号に変わり、車が発進したのと同時に先生が大きな声を出した。
「お前に借りたハンカチだけどさ、その・・血が完全に取れなくて」
「あ、いいですよ!捨ててください」
「まぁ、そうするしかないんだけど・・・新しいの買って返すよ」
「え?いいですよ。気にしないでください」
「いや、それはダメだ!あ、ハンカチ以外でもいいぞ。でも、あんまり高いものはダメだからな」
「えー・・・」
「欲しいもの言えよ。買ったる」
「うーん・・・」
いきなり、そんなこと言われても思いつかない。
私が、今欲しいものー・・・
「・・・」
あー・・・・
「お、決まったか?」
「え、あ・・・」
「遠慮せずに、言えよ」
思いついたのは、思いつたけど・・・こんなの、いいのかな?
「ん?」
先生が運転席から少しだけ、耳を傾けてくれている。
どうしよう、でも知りたい。
「・・・番号」
「ん?」
「先生の・・・携帯番号が知りたいです」