ひなたぼっこ~先生の、隣~
[女子100メートル走に出場する選手は…]
「あ、やばい、私らじゃん!」
「戻らないと、担任うるさいよ」
「早く!」
女子生徒3人が慌てて、扉に向かう。
その中で香奈だけは、落ち着いていた。
「先生、体育祭終わったら準備室で待っててね!」
寝ている先生の背中を叩きながら言った。
「なん…」
カラン
缶が転がった音がした。
「あれ…何でこんなとこに、缶のお茶があるの?」
先に扉に向かった生徒が、転がったお茶を拾いながら言う。
「ゴミじゃね?」
「まだ開けてないよ。しかも、さっき買ってきたみたいで冷たいし、水滴がついてる」
「えぇ~!もったいない。2本あるし、もらっちゃおうか?」
「先生!ここにお茶…」
いつの間にか起き上がっていた先生が、生徒からお茶を取り上げる。
「早く出ろ」
睨みつけるように言うと、生徒全員を保健室から追い出し、扉をおもいっきり閉めた。