ひなたぼっこ~先生の、隣~
ブ-ブ-
枕元に置いてあった携帯が鳴った。
「…ん」
重たい瞼をゆっくり開け、携帯を手に取る。
泰葉はあれから、真っすぐ家に帰ってきた。
苦手な運動や神経を使ったせいか、部屋に入ったとたん着替えもせずにベットに寝転び、そのまま眠ってしまったみたい。
「…もしもし」
誰からの着信かも確認せず、寝ぼけた声で出る。
『妹尾…寝てた?』
ドキン
パチっと一瞬で目が覚めた。
「…高橋…先生?」
『おう。悪いな、起こして…』
「いえ…全然!」
寝転んでいた体制を勢いよく起こし、何故か正座になる。
『今日…悪かったな。色々と…』
ドキン
「いえ…」
やっぱ気付いてたんだ…
制服のスカートを握りしめる。
『それで…保健室で俺が言ったことだけどー…』
ドクン
「先生」
さっきよりも、スカートを握りしめる力が強くなる。
『ん…あ?』
「借り物競走に書かれていた紙、見ました」
『…』
先生は一瞬黙ったが、小さい声で"…あいつ"と言ったのが聞こえた。
「でも…保健室で聞いたのは、ショックでした」
『あれは…』
「私は…」
言葉がつまる。
『私…?』
"先生が好きです"
「あ…」
泰葉は唇を噛み締め、黙ってしまった。
しばらく沈黙が続く。