ひなたぼっこ~先生の、隣~
「何よ!高橋のやつ…」
香奈が、ブツブツ言いながら廊下を歩く横を、苦笑いしながら泰葉が並んで歩く。
グイ
「!」
「あ…」
泰葉の腕が後ろから引っ張られた。
香奈は、目を見開いている。
泰葉が振り返ると、そこには…
「今日、夜…」
"会って、話がしたい"
最後の言葉は周りに聞こえないように、小さな声で先生が言った。
それだけ言うと、泰葉の腕から手を離し準備室に戻って行った。
「高橋、何て?」
ニヤニヤしながら香奈が聞いてくる。
「…香奈」
「ん…泰葉?」
「私…どうしたらいいのかな?」
泰葉からの目には、涙が溢れ出ていた。
先生が好き。
でも今回のことで、どれだけ先生に迷惑がかかるか、わかった。
"伝えたい"気持ちと
"伝えちゃいけない"気持ちが
絡まっている。