ひなたぼっこ~先生の、隣~







この間のことが恥ずかしくて、どういう顔して会えばいいのか悩んでたけど…





先生は忙しくて、そんなこと忘れてるだろうなー…




私が気にしすぎてただけ。







先生から連絡来るまで待っていよう。



私から言ったら、忙しいのに迷惑になっちゃうしね。









「妹尾さん!教室戻るよ」




「あ、うん」






慌ててホウキを掃除用具入れにしまうと、ヒョイっと何かを投げられた。



「鍵よろしくね」



渡されたのは、生徒指導室の鍵。



「…うん」


先に、他のメンバーは教室に戻って行った。



…最後になったから、しょうがないか。






戸締まりを確認している時、ふと机の中にあるものが目に入った。








忘れもの?





机の中にあったのは、携帯電話とタバコ。





生徒から没収したものだろうか?




ここに置いといていいのかな?







「あ、良かった。開いてた」



ビク




勢いよく扉が開いたので、驚いてしまった。





向こうも、泰葉一人でいたことに驚いている。



「あれ…掃除終わったのか?」



高橋先生が扉を閉め、泰葉に近付く。




「はい…後は、戸締まりだけです」




「そっか」



と言いながら、頭を撫でる。




「先生…」





「誰も来ないよ。生徒指導室に近付く奴なんかいないし」


先生は、笑いながら言った。




「忘れものを取りに来ただけなんだが…ラッキーだったな。あ、ここ座れよ」




「え…」








いつもは、校則違反をした生徒が座る場所に泰葉。
先生は、いつもの場所。



向き合って座る。






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