ひなたぼっこ~先生の、隣~
「なんか、変な感じだな」
「え?」
「いつもは叱られる生徒が座る場所に、妹尾が座ってる」
ニヤリと笑いながら先生が言った。
「私も、何か変な感じです」
「ハハハ。そっか」
笑ったあと、先生は黙って何かを考えているように見えた。
「妹尾」
さっきとは違い、真面目な顔をして話す。
「この間、安川が言ってたことは本当か?」
ドキン
先生、覚えてたんだー…
「…本当ですけど」
泰葉は、俯いて答える。
やっぱ高2で初カレって引かれるのかなー…
「…俺でいいのか?」
"…俺でいいのか?"
泰葉は、バッと顔を上げた。
想像していたのと違ったから。
「え?」
今度は、先生が俯きながら話す。
「初めての相手って大切だと思うし、それにまだお前は16だろ?俺なんかより…同年代の奴と付き合った方がいいのかなって」
「先生…」
「ずっと考えてたけど、年齢差はどうしようもないしな」
苦笑いしながら先生が言った。
「…私は、先生に引かれたかと思いました」
「…え?」
「周りは、中学の時から彼氏いる子達ばかりだから、彼氏が今までいなかった方が変な風に見られることが多いんですよ」
「…」
「香奈が先生に言ったときも、恥ずかしかったし、先生がどう思ったのか気になってました…だけど、考えていたことと違ってホッとしました」
泰葉が笑顔で言う。
「初めての彼氏が先生で、私は嬉しいです」
「…妹尾」
先生も、ふっと笑った。
「…ありがとな」