ひなたぼっこ~先生の、隣~
花火大会当日ー…
「泰葉!久しぶり」
待ち合わせ場所に行くと、もうほとんどの生徒が集まっていた。
「久しぶり。香奈」
花火大会の場所は、学校の近くの河川敷。
それぞれの生徒が、花火や食べ物を持ち合って来ている。
服装は、浴衣を着てる人達もいるし、今時の格好をしている人達もいる。
泰葉の今日の服装は、悩んだ結果…
「泰葉、いつもより大人っぽく見える!」
「そうかな?」
清楚な感じでコーディネートしてみた。
グラデーションのロングスカートが特徴。
良かった…
「高橋さ、ちょっと遅れて来るんだって」
「そうなんだ」
コソコソっと香奈が耳打ちをした。
「今日、高橋を狙ってる子多いらしいよ」
ドキン
「…え?」
目を見開いて香奈を見る。
「私が皆に言う前に、もう他の子が高橋を誘ってたんだって。しかも、女子が」
「…そうなんだ」
「ほら、あそこの子」
香奈が小さく指を差した方向には、隣のクラスの女子生徒。
麻生 楓(あそう かえで)
学年で一番可愛いと、男子の中で有名な子。
性格は、優しくて意志がハッキリしてる子だけど…裏表が激しいらしい。
一回も話したことがないから噂でしかしらない。
「私も直接は聞いたことないけど、泰葉が来る前に話してるの聞いちゃってさ」
「そっか…」
「気をつけなよ」
「うん。ありがとね」
それだけ言うと、香奈は皆の輪に入って行った。
泰葉はそれを遠くから見ているだけ。