『妄想物語』
「○○ってさぁ、そんなに寒いの嫌いなの?去年もそんなだったじゃん!」
いつもの仲間と飲んだ帰り道、店を出た瞬間にあからさまにテンションが下がった私を見て、密かに思いを寄せる◇◇が少し笑いながら問いかけてきた。
「大嫌い。震えるし知らない間に背中丸めてるし…。◇◇は好きなの?」
「あぁー。去年くらいから好き。いや、コート脱いで歩きたいくらいだから大好きかな…」
(冬どころか寒いのが好きなんて、趣味が合わない人間に惚れてしまったもんだな…。)
そう思いながら◇◇の楽しそうな横顔を見つめ、なんだかより寒く感じた帰り道だった。