私と彼の関係
 彼を待つ間、辺りを見渡すと、私以外の人は、みんな幸せそうで悩みなんてないように見えてきてしまった。


 もうすぐ私の誕生日。


 でも、そんなこと宮野君は知らないだろうな。


 私も宮野君の誕生日がいつか知らないんだよね。


 そのとき、チケットが差し出された。私はそれを受け取ると、ショルダーバッグからお金を出そうとした。


「いいよ。今日は俺がおごるから」


「いいって、高いから悪いよ」


 ここの水族館の入館料は二人分の昼食代は軽く払えてしまいそうなほど高い。


「後でごはんでもおごって。それでいいから」


 単に受け取るのが面倒だったんだろうか。でも、そんなに軽く考えられるような金額でもない気がする。


 今まで出かけたのはあのファミレスくらいで、一緒にきちんとどこかに出かけたことはなかった。だから、こうしたことを知ったのかもしれない。


 本当に宮野君という人はよくわからない人だ。
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