私と彼の関係
「何かあったの?」


 親が倒れたとか、一瞬で納得できる理由ならよかった。それならきっとこの疑問もすっと消えるから。


「ののかに呼ばれて。悪いな」


 交わされた言葉に胸がいたむ。


「わかった。急用じゃ仕方ないよね」


 本当はその理由を聞きたくてたまらなかった。


 でも、本物の彼女でない私にそんなことを聞く権利がないことはわかっていた。


 それ以上に理由を聞くことで、彼にうっとおしいと思われたくなかったのだ。


 それに私は以前彼女を傷つけてしまっていた。そのことに対する罪悪感が宮野君に対して何も言えなくしていた。


 別に花火大会に行かなくても、私の誕生日なんて祝ってくれなくても、たいしたことじゃない。


 宮野君は私の誕生日を知らない。そう言い聞かせても、こうして傷ついてしまう自分自身がすごく浅ましく感じてしまっていた。


「家まで送るから」


「いいよ。少しぶらっとして帰るから気にしないで」


 彼に傷ついた顔を見せたくなかったから、ここで別れたかったのだ。


「バイバイ」


 勝手にどこか行こうとした私の手をつかむ。

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