私と彼の関係
 私はそれに手を伸ばす。


 ふわふわとした素材が気持ちいい。


「たまに姉の買い物につきあったりもするんだよ。荷物持ちとかでさ」


「そうなの?」


 兄弟にそういうことって頼めるものなんだろうか。兄弟のいないわたしにはいまいちしっくりこない。


「そう。だから結構慣れているし」



 
 彼が優しいから、お姉さんもそうしたことを気軽に頼めるのかもしれない。


 そのとき、彼が優しく笑っているのに気付いた。


「どうかした?」


「いや、うれしそうに見ているからほっとしたっていうか」


 彼はそういうと、少し照れたような笑みを浮かべていた。


「ほっとしたって」


「昨日からずっと暗かったし。心配していたんだ。でも、よかったよ」


 それは宮野君のことがあったからだ。
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