私と彼の関係
 それからどこかに行くこともなく、近くのお店で三時間ほど話をして過ごした。


 少し迷惑な客だったかもしれないけど、落ち込んでいた気持ちがほんの少し軽くなるのがわかった。



「じゃあね」


 送ってくれた彼に手を振って返す。


 彼は背を向けて帰っていく。


 恋人ってこんなものなのかもしれない。


 一緒にいるだけで、元気になれて、ほっとできる関係。


 私は家に入ると、鞄をリビングに置く。冷房をつけて、ソファに座る。


 あんなシーンを見たのに、泣かずに済んだのは彼が一緒にいてくれたからだった、と思う。


 そのとき、携帯が鳴る。


 発信者の名前を見て、ドキッとした。


 そこには宮野君の名前が表示されていたのだ。


 高鳴る鼓動を抑えながら、携帯を耳に当てる。
< 187 / 235 >

この作品をシェア

pagetop