私と彼の関係
 彼はいつものように淡々と、冷めた言葉で言っていた。きっとそういう顔をして、言っているんだろう。


 彼はそう言うってことくらい分かっていた。だって、最初にそう言ったじゃない。


 私と彼の関係はその契約だってこと。


 でも、そんな言葉を聞きたかったわけじゃなかった。


 むなしい希望だとわかっていても、断ればいいといってほしかったのだ。



 私が宮野君からそう相談されたら嫌と言いたくてたまらなくなる。


 こんな他人事のような言葉をいえない。それもそんなに淡々と。


 勝手に好きになって、期待して、何をしていたんだろう。


 彼はずっと一貫していた。彼らしい答えだったと思う。


「そうだよね。ゆっくり前向きに考えてみるよ」


 そう精一杯の明るい声で言う。


 そんな言葉を言われた後で、彼に好きだなんていえるわけもない。


 彼の気持ちを試そうとしたのがいけなかったんだと思う。
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