私と彼の関係
第二章 彼の提案
 親がいてもいなくても、普通な日々を送るのだと疑うことはなかった。でも、私は一つだけ忘れていたことがあった。


「本当に一人暮らしなんてできるの?」


 あいは頬杖をつき、あきれたように私を見ていた。そんな彼女の気持ちがほんの少しだけ分からなくもない。


 昨日、親が家を出た。そこまではよかったのだが、起きて時計を見た瞬間、私は固まってしまっていた。朝、起きた頃にはもう補習どころかホームルームの寸前の時間を示していたのだ。


 私は毎朝親に起こしてもらっていたのだ。その親がいなくなるということは毎朝一人でおきないといけないわけで。


「本当によく眠るよね」


「眠いんだもん」


 別に夜更かししているわけでもないのに、寝るとなかなか起きられない。
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