私と彼の関係
 待ち合わせ場所に行くと、白のレースのワンピースを着たののかちゃんの姿があった。


 お人形のように可愛い彼女にはそんな格好がすごく似合う。


「お久しぶりです」


 あのときの泣き顔とは違い、笑顔で笑っている彼女を見てほっとしていた。


 元気になったのかな。


「久しぶりだね。元気だった?」


 彼女の事情を聞こうとしたわけじゃなく、よくある挨拶としてそう声をかけていた。


 ののかちゃんの表情は一瞬暗くなる。


 どうにかして取り繕うとしたとき、ののかちゃんは目を細めていた。だが、その笑顔は悲しげで見ているだけで切なくなる。


「私、先輩に謝らないといけないことがあったんです。一週間前、渉と花火大会に行ったんですよね」

「うん」


 うそを吐いても仕方ないことだったので、素直に認めた。


 彼女は足を止め、深々と頭をさげていた。


「あのときは気が動転していて、まさか先輩とデートしていると思いもしなかったから。本当にごめんなさい。そのことを謝りたくて」

< 201 / 235 >

この作品をシェア

pagetop