私と彼の関係
 実際は違うのに。


「私と宮野君は本当は付き合っていたわけじゃないんだ」



「え? でも、彼女だって言っていましたよね」


「別にののかに言わなくてもいいよ」


 前を歩いていた宮野君は振り返らずにそう口にする。


 彼女は頬を膨らませ、いじけたように宮野君を見る。


「どうして? 私だって知りたい」


「いろいろ煩そうだし」


「そんなことないですよね」


 ののかちゃんは私に助けを求めてきた。


 私的にはもう隠すつもりはなかったので、彼女の言葉に頷いていた。


「全部嘘だったの。だましていてごめんね」


「どうして?」


「宮野君から彼女の振りをしろって言われて、それでその振りをしていただけなんだ。でも、片思いだったんだよ。私のね」
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