私と彼の関係
「悪かったって」


 そう少しあどけない感じで笑われると、何も言えなくなる。


「そういえば夏休みの宿題はした?」


「三分の一くらいは」


「全部できそう?」


 私は首を横に振る。


 分からないところはあいに教えてもらおうかなとも思っていた。


「明日以降、いつでもいいけど、都合がいいときに教えてやるよ。今日でも少しくらいなら」


 花火大会に行く予定だった日に、二人で勉強というのも少し複雑だったけど、このまま別れるよりはいい気がして、彼に上がってもらうことになった。


 彼を家にあげて、飲み物を出す。


 それから、部屋に荷物を取りに行く。


 部屋に戻ると、宿題のプリントとテキストをもってリビングに戻る。


「どこ?」


 私はそれを教えるために、彼の隣に座る。


 だいたいの範囲を教え終わったとき、彼が数学の問題集をめくる。


「ここのあたりは期末と同じだからできるよな」


 問題集を覗き込み、内容を確認してうなずいた。


 顔をあげたとき、宮野君の顔がこぶし一つほど離れた場所にあるのに気づいた。
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