私と彼の関係
「あれからだったんだ」


 二人の会話の事情が飲み込めないでいると、ののかちゃんは目を細めて詳しい事情を教えてくれた。


「先輩は覚えていないと思うけど、私、入学してすぐに先輩に会っていたんです」


「そうなの?」


「私が転んでカバンの中身を広げてしまったときに、先輩が遅刻しそうなのに拾ってくれたんです」


 思い出そうとしたけど、ののかちゃんとあった記憶はいまいち思い出せないままだった。


「覚えていなくてごめんね」


「いいえ。そんな些細なことって覚えていないと思いますから。私は入学したばかりで先輩のことを知らないし、渉に先輩のことを聞いてみたんです。

そのとき、先輩のことを知らないって言っていて。結局、岸川先輩が先輩のことを教えてくれました」


 そのときから岸川さんは私のことを知っていたんだ。


 そして、宮野君が私を知ったのはそのときだったんだろうか。


 それから、彼の言っていたとおりのことがあり、つきあうふりとなったんだろうか。
< 226 / 235 >

この作品をシェア

pagetop