私と彼の関係
 となるとののかちゃんのことがなければ、宮野君はそうした誘いをしてくることも、私を好きになってくれることもなかったのかもしれない。そう考えると、すごく不思議だった。


「一目惚れだったの?」


 笑顔できいてくるののかちゃんを宮野君は完全に無視してしまっていた。


「早く行かないと遅刻するよ」


 少し前を歩いていた宮野君にそういわれ、私とののかかちゃんは顔を見合わせると、歩くスピードを速めていた。


 宮野君とは学校の少し前で別れる。ののかちゃんにからかわれてはいたが、彼は憮然とした顔を崩さなかった。


「あれって、照れ隠しなんですよ」


「そうなの?」


「今までの付き合い上そんな気がします」


 やっぱり二人は幼馴染で、本当に互いをよく知っているなと思った。


 私だったら怒っているのかなと思ってしまうからだ。


「気になるなら後から本人に聞いてみたらいいと思いますよ」


 彼女はそう屈託のない笑顔を浮かべていた。
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