私と彼の関係
その彼の足がパン屋の前で止まる。学校がこの辺りに何軒かあるからか、このパン屋は朝の早い時間から開いていた。
私もお母さんがお弁当を作れなかったときはここで買うこともあった。一番多いのは学校の中にある売店だったが。
「入るけどいい?」
淡いオレンジ色の光を放つ店内にはちらほらと私の学校の生徒がいた。
「はい。お昼はパンなんですか?」
「まあ」
彼は曖昧につぶやくと、店の中に入っていく。高い鐘の音がまだ辺りを沈ませている町並みに響いていた。
彼はオレンジ色のプレートと銀のパンをつかむものを取る。
「よかったら鞄を持ちましょうか?」
彼がその二つを同じ手に持っていたから、そう提案する。彼は私に無言で荷物を渡す。