私と彼の関係
「いろいろと事情があって」
「後でゆっくり聞かせてよ。でも、パン食べるなら食べないと先生が来ちゃうよ」
「分かっているんだけど」
「仕方ないなあ」
あいは袋に手を突っ込むと、パンを取り出した。すぐにお店のロゴと店名が印刷された袋からおパンが出てくる。
「優菜は本当にこのパンが好きだね」
彼女がそう言うくらい彼が買ってくれたのはチョココロネとアンパンだった。
そういえばサンドイッチ売り場で彼がうろうろしていて何も取らなかったことを思い出していた。
それはわたしがどれを好きか言わなかったからかもしれない。
「うん」
そこでやっとパンに手を伸ばす。アンパンだけを食べることにした。一気に食べてしまうのがもったいなかったからだ。
最初はドキドキしてまともに話ができなかった。昨日はどきどきしながら、なんて人だと思った。
今日は夢見心地で、うまく言葉で表現することもできなかった。
いつも自分で買うのと同じパンのはずなのに、その日だけはそのパンをやけにおいしく感じていた。