ばーか、だいすきだよ。
「神田ぁ~」


放課後。わたしとちっさで教室にいた。


そしてそこに――

「一緒に帰ろーぜーい」

”遊び人”の松永アツキ。


茶色い髪の毛をワックスで軽く立てている。

わたしから見て、正直いけ好かない男。


なんだけど…


「え…っや…あの」


ちっさはなんだかおどおどしてて。

大丈夫かなぁ…、ちっさ。


「あたし今日はっ!ゆんちゃんと帰る約束してるから!!」


おっ、言った。必死になってがんばるちっさ。

…なんだけど。


「……」


松永アツキの視線は何故かわたしに向けられる。


…なんだよ。


まぁ、なんだし、軽くお辞儀でもしとこっかな!!


わたしが愛想笑い、作り笑いをしてペコっとお辞儀したら、松永アツキは笑って言った。


「ほんと頼むよ、神田と一緒に帰りたいんだ」


…うっぜぇ~

ほんとうぜぇ~

ちっさは申し訳無さそうな顔をして言う。


「…じゃあ、今日だけ…。ゆんちゃんごめんね」

「全然いーけど…気をつけてね」

「? うん…」


「ばいばーい」

ちっさと松永アツキは廊下へ出る。

ポツンと一人、教室にわたしだけ。


「…帰ろっかな」


スクバを持って教室から出ようとした。


しかしちっさ。

どうしてああも優しいんだろうか。

わたしにはサッパリ理解できない。

一緒に帰りたくないなら、きっぱり断れば良い。

それが出来ない、ちっさ。


――ここはわたしが助けるべきだった――?




…なぁんて思ったとき…

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