ばーか、だいすきだよ。
「ぉお~い」


またわたしに呼びかける、この声。


その主は―


「由宇!!なんで無視すんだよ」


水城 竜晴♂
Ryuharu Mizuki


わたしとちっさと同じクラス。


でもって――幼馴染みってやつ。


「無視してないよー、朝からうるさいんだからっ」


「なんだよっ!別にいーだろ」



水城竜晴は、わたしとちっさの幼馴染みで。


クラスじゃ結構モテるし。


頭は馬鹿だけどスポーツはできるやつ。



ちっさと仲良くなったのは幼稚園に入ってからだけど、

コイツとわたしは生まれたときからの仲。


いいところも悪いところも、熟知しちゃってる。



「まーた、千沙紀は寝坊かよ」


リュウがうんざり、と言う顔で、おもしろそうに言った。


「リュウも寝坊するかと思った」


そしてわたしは、まーたこいつに嫌味らしく言う。


この対応が体に染み込んでいて、どうにも口が先走る。


「ばーか、おれが寝坊するわけねーだろ」


わたしって…可愛くないなぁ。




「ごめんごめんー!ゆんちゃん、また寝坊しちゃったよ~~」



ちっさが家の扉を開いて、外に出てきた。


そっとわたしは隣を見る。


嬉しそうな、わたしに声をかけた時とは比にならない…



リュウの嬉しそうな顔――

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