ばーか、だいすきだよ。
「な、どうしたの?」


由宇の前で、前を見ていた竜晴くん。

竜晴くんが、上を見た。

その動作が、黄色い傘の傾きでわかった。


「由宇も誰かとつきあったりすんのかなー」

「由宇?由宇は誰ともつきあわないよ!」


即答した。そんなの、考えたことなかったから。


「竜晴くんだって、モテるんだから。未央子ちゃんと付き合えば?」

「ばーか!おれだって付き合わねーよ!」

「じゃ、なんで由宇に聞くかなーあ?」

「うるせーな!」


竜晴くんの足がまた動き始めたから、慌てて歩いた。



「オマエに恋人ができない限り、おれは恋人作んねーよ」

「え。なんでっ?」


「…なんでって…」


ずっと由宇の前にいた竜晴くんが、初めてクルっと由宇の方を向いた。

竜晴くんの顔は…これまで見てきた中で初めて見る表情をしていた。


すっごく寂しそうで…

すっごく哀しそうな…



「なんでだろうなー…」





でも、しっかり笑ってた
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