ばーか、だいすきだよ。
――知ってるよ。


――…知ってる。


――ずっと前から分かってて、熟知してるし。


――あの子から取ろうとも、思ってない…。




「…どーして?」


暖かい風が吹いて

優しくわたしを包み込んでくれる。


…知ってる…

…ここは、あの原っぱ。

学校帰りに良く寄り道した…


毎年たくさんのタンポポが花を咲かせる…


あの原っぱだよ…。


「どーして?」


また、あの子は聞き返してくる。


どーして…って、わかんないのかなぁ。


「…ゆんちゃんは、優しすぎるね…」


とっても哀しい顔で、あの子は言った。


「それが…すっごく辛いんだよ…」


…わかってるよ。わかってる。わたしは逃げてるだけだって。


―――でも……



「でも、ゆんちゃんはやっぱり優しいから…」


あの子の大きな瞳から、綺麗な雫が零れ落ちる。


「ちっさに…何も言わないんでしょう?」
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