ばーか、だいすきだよ。
「どうだったんだよ?」

リュウが眉をつりあげて言う。

「…えー?」

ちっさが、困った笑いをつくる。

そしてチラっと、わたしを見る。


もー、わかったよ。


「竜晴!!竜晴は男なんだよっ、男!

 いくら幼なじみだって、女の子だけで話すことだってあるんだからね!」


リュウは一瞬びっくりした顔をして、次第に顔に怒りをつのらせていった。

あ、ヤバイかな――?


「なんだよっ!ばーか、もう知るか」


そのままリュウはプイと男子の群れに交ざっていった。


「ごめんねー、ゆんちゃん…」

「…全然っ☆」


いつもわたしは、こうゆう役割だしね。

あ、別に嫌味なわけじゃぁないよ?


「で、どーだったの?」


わたしは興味津々になって問う。

ちっさが頬を紅くした。


もー、ホント可愛すぎだよ。ちっさ。


「二年三組の松永くんに…告られた」

消え入りそうな小さな声。

口先を尖らせて、少し喜んでて、でも、すっごく申し訳無さそうな顔。



「もちろん、断ったよ??松永くん、遊び人だし。

 今はそんな気全然ないし。

 きっと、わたしのことも本気じゃないと思ったから。でも――」


「でも、何?!」


身を乗り出して聞き入るわたし。

なぁんか……自分って恥ずかしい人間だなぁ。


「でも…”諦めないから”…って言われた」


照れたような。

でもやっぱり、複雑な気持ちなんだろうな、ちっさ。


「しっかり言わないと駄目だよ、ちっさ。

 松永アツキって、あいつは”告って振る”で有名じゃんっ!

 そんなのに付きまとわれたって――」


「うん……そーだよねぇー…」


ちっさは神妙になって考え込む。

あーあ、この感じ。この気持ち。

かったるい、だるい、気持ち悪い。



ちっさを守るのは…ちっさを守るのはそいつじゃないのに――

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