王子様はカリスマホスト
翌日、目覚めたあたしの目に飛び込んで来たのは、眩しく窓から差し込む朝の光だった。

カーテンを閉めて寝るのを忘れてしまったみたいだ。

部屋を出てリビングへ向かう、その途中。

突然“ガタンッ”と音がして、あたしは飛び上がるほど驚いた。

「な、何?」

物音がするのは2階からだ。

階段の方を覗いてみるけれど、暗くて何も見えない。

それでも気になって。

あたしはそっと階段を登り始めた。

微かに聞こえて来るのは―――

水音?

でも、たしかお風呂場は1階のはずなのに・・・・・

そっと、階段を登る。

ようやく階段を登りきったその時。

ガチャリという音と共に突然すぐ横の扉が開き、あたしは危うく声を上げそうになり、慌てて口を押さえた。

まだ朝の5時半。

大きな声を出すような時間じゃない。

「何してんだ?」

出てきたのは凛斗お兄ちゃんだった。

「俺のシャワー浴びてるとこでも覗きにきたのか?ずいぶん大胆なことするんだな」

にやりと笑い、あたしの髪をそっと手で掬う。

ふわりと香ってくるコロンの香りにドキッとする。

そのまま引き寄せられそうになり―――

あたしははっとしてお兄ちゃんから離れた。

「な、何すんの!?」

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