王子様はカリスマホスト
お兄ちゃんが、ふっと小さくため息をついた。

「おい、帰るぞ」

「あ、うん」

さっさと歩きだすお兄ちゃんに、慌ててついていこうとして。

「凛斗、お前浅野先生に呼ばれてなかった?」

拓未さんの言葉に、お兄ちゃんの足がピタリと止まる。

「ああ・・・・・忘れてた」

顔を顰め、頭をかくお兄ちゃん。

ちらりとあたしを振り返ると、

「先に帰ってるか?すぐ終わると思うけど―――」

と言った。

「あ―――」

「あ、じゃあすぐそこにバーガーショップがあるからそこで待ってる?ジュースくらい奢っちゃうよ?」

にっこりと微笑む拓未さんに、あたしは戸惑って断ろうとしたけれど―――

「きゃあ、ほんとですかあ?あたし、喉乾いてたんですう」

琴乃が瞳を輝かせていうのに、拓未さんは声を上げて笑った。

「じゃ、行こうか。―――凛斗、そこで待ってるから」

お兄ちゃんは何となくおもしろくなさそうな顔をしながらも―――

「―――わかった。すぐ終わらせるから」

と言って、大学の構内に向かって歩き出したのだった・・・・・。

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