王子様はカリスマホスト
「俺の顔見て逃げ出そうとするってのはどういう了見だ?ん?唯菜ちゃん」

にっこりと、意地悪な笑みを浮かべるお兄ちゃんに。

あたしはぐっと詰まり言葉をなくす。

そんなあたしと凛斗お兄ちゃんを交互に見る琴乃。

「あ!従兄のホストさん!」

と言われ、凛斗お兄ちゃんは目を丸くしたのだった―――。



「どういう説明してるんだよ」

家に向かう道すがら。

お兄ちゃんがじろりとあたしを睨みつける。

「だって、本当のことでしょ。それより、何で学校に来たの?」

「これ」

そう言って、お兄ちゃんは会った途端あたしから取り上げた教科書とジャージの詰まったバッグを持ち上げた。

「バッグ?」

「ああ。たぶん、いっぺんに渡されて重いだろうから持ってやれって、親父が」

「叔父さんが・・・・・」

「そう言うことにはよく気がつくんだよな。普段ぼーっとしてるくせに」

言いながら、お兄ちゃんが大きなあくびをしたのを見て、はっとする。

朝の5時ごろ帰って来て、寝たのはたぶん6時ごろ。

十分寝れなかったのかも。

「あの、ごめん。バッグならあたし持てるから、先に帰って寝て―――」

その言葉にお兄ちゃんはあたしを振り返り、くすりと笑った。

「なんだよ、俺と一緒に寝たい?」
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