王子様はカリスマホスト
「ああ!」
その日の夜8時ごろ。
リビングでTVを見ていると突然叔父さんが大きな声を上げ、あたしは驚いて振り返った。
キッチンにいた叔父さんは、困ったように頭を掻いていた。
「叔父さん?どうかした?」
「いや、その―――実は凛斗に渡し忘れた物があって」
「お兄ちゃんに?帰って来てからじゃ駄目なの?」
「いや―――今日中に、店に持って行ってほしかったものなんだけど―――仕方ないな、今から行ってくるか。唯菜ちゃん、悪いけど留守番を―――」
「あたし、行って来ようか?」
あたしの言葉に、叔父さんは驚いて目を見開く。
「え?唯菜ちゃんが?」
「だって、叔父さん今お風呂から出たばっかりじゃない。まだ夜は冷えるんだし、風邪ひくよ」
「いや、けど、こんな時間に女の子1人では―――」
心配そうなおじさんに、あたしは笑って見せた。
「大丈夫だよ。まだ8時だし、人通りもあるでしょ。それに、その店近いんでしょ?お兄ちゃんが出て行った時間考えても―――10分くらいで着く?」
「あ、ああ。すぐ裏の大通りを渡って5分くらいのところだから、人通りも多いけど―――でも、ホストクラブに女の子が1人でなんて」
「大丈夫だってば。いくらなんでもあたしみたいな子供、客だなんて思わないでしょ?お店の人にお兄ちゃん呼んでもらって、忘れ物渡したらすぐ帰ってくるから」
叔父さんの役に立ちたかったのと、それからお兄ちゃんの働いているホストクラブというのがどういうところか、見てみたかったという好奇心から、あたしはやや強引に叔父さんから『忘れ物』を預かり、家を出たのだった・・・・・。
その日の夜8時ごろ。
リビングでTVを見ていると突然叔父さんが大きな声を上げ、あたしは驚いて振り返った。
キッチンにいた叔父さんは、困ったように頭を掻いていた。
「叔父さん?どうかした?」
「いや、その―――実は凛斗に渡し忘れた物があって」
「お兄ちゃんに?帰って来てからじゃ駄目なの?」
「いや―――今日中に、店に持って行ってほしかったものなんだけど―――仕方ないな、今から行ってくるか。唯菜ちゃん、悪いけど留守番を―――」
「あたし、行って来ようか?」
あたしの言葉に、叔父さんは驚いて目を見開く。
「え?唯菜ちゃんが?」
「だって、叔父さん今お風呂から出たばっかりじゃない。まだ夜は冷えるんだし、風邪ひくよ」
「いや、けど、こんな時間に女の子1人では―――」
心配そうなおじさんに、あたしは笑って見せた。
「大丈夫だよ。まだ8時だし、人通りもあるでしょ。それに、その店近いんでしょ?お兄ちゃんが出て行った時間考えても―――10分くらいで着く?」
「あ、ああ。すぐ裏の大通りを渡って5分くらいのところだから、人通りも多いけど―――でも、ホストクラブに女の子が1人でなんて」
「大丈夫だってば。いくらなんでもあたしみたいな子供、客だなんて思わないでしょ?お店の人にお兄ちゃん呼んでもらって、忘れ物渡したらすぐ帰ってくるから」
叔父さんの役に立ちたかったのと、それからお兄ちゃんの働いているホストクラブというのがどういうところか、見てみたかったという好奇心から、あたしはやや強引に叔父さんから『忘れ物』を預かり、家を出たのだった・・・・・。