王子様はカリスマホスト
あたしだって、怒ってばかりいたいわけじゃない。

でも、なんでだろう。

あの家で、あたしは叔父さんとはうまくやっていける気がする。

優しくて、穏やかで。

そして、パパの面影があって―――。

だけど、お兄ちゃんは違う。

小さかったころのお兄ちゃんは優しくて。

その思い出のせいなんだろうか。

再会してからのお兄ちゃんは、あたしにひどく冷たい気がする。

あたしがあの家に住むことを、よく思っていないんだろうか。

こっちに帰って来てからずっと、あたしが遊びに行くことを叔父さんたちが避けていたのと何か関係があるんだろうか。

そんなに、あたしに会いたくなかったんだろうか―――。

だとしたら、その理由はなんだろう?

小さいころ遊んでもらった記憶はあっても、喧嘩なんかした記憶はないし恨まれるような覚えもない。

なのに。

なんでなんだろう・・・・・。


家に帰り、自分の部屋へ向かう。

叔父さんはいないみたいだ。

静かな家の廊下を歩き、自分の部屋の扉を開けようとして。

その扉が、内側から開いてきたのに驚いて固まっていると―――

「あれ、あんた―――」

そう言ってあたしを見ていたのは、あのホストクラブにいた若い男の人だった・・・・・。
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