王子様はカリスマホスト
「なんでホストクラブのオーナーなんて始めたの?」

夕食の席で。

唐突にそう聞いたあたしの言葉に、ご飯を口に入れていた叔父さんがむせかえった。

「な―――何で・・・・・凛斗が言った?」

「ううん、あの千尋って人。カラコン発注しといてって言われたの。カラコンってカラーコンタクトだよね?」

まさか、工事現場なんかにあるカラーコーンのことではないだろう。

「ああ、うん。そうか千尋君が―――」

大きな溜め息をつき、がっくりと肩を落とす叔父さん。

そんなに知られたくなかったのかな・・・・・?

「あの―――別にあたし、大丈夫だよ?叔父さんがどんな仕事してたって」

その言葉に、叔父さんは顔を上げて苦笑した。

「そうかい?唯菜ちゃんは優しいからな―――。だけど、できればあんまり知られたくなかったんだよ。この仕事が嫌いなわけじゃないけど、水商売なわけだからね。唯菜ちゃんのお友達が知ったら、もしかしたらいじめられるんじゃないかって」

「そんなこと、気にしてたの?」

あたしはちょっと目を見開いた。

「大丈夫だよ。今時、そんなことくらいでいじめられたりしない。それよりも、叔父さんがそういう仕事してるっていうことの方が意外だった。たしか―――北海道ではレストランをやるって」

「うん―――。そうなんだけどね」

弱々しい叔父さんの笑顔に、あたしの胸がざわついた。

何があったの―――?
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