王子様はカリスマホスト
連れて行かれた叔父さんの家は割と大きな一軒家で、親子2人で住むにはちょっと広すぎるくらいだと思った。

叔父さんの奥さんはあたしがまだ小さかった頃に病気で亡くなっていて、叔父さんと一人息子の凛斗お兄ちゃんの2人暮らしのはずだった。

5歳年上の凛斗お兄ちゃんとは、もう10年以上会っていない。

覚えているのはとても優しかったということ。

お互い1人っ子で、たまに会って一緒に遊んでもらうのが何よりの楽しみだったと思う。

色白で、女の子みたいに可愛かったお兄ちゃん。

あたしにとっては、王子様みたいな存在だった・・・・・。

叔母さんが亡くなってからは叔父さんが仕事を変わってしまったこともあって、北海道の方へ引っ越してしまったためまったく会わなくなってしまった。

横浜の方へ戻ってきたのは凛斗お兄ちゃんの大学進学が決まったから。

でも、叔父さんはたまにうちへ顔を出すこともあったけれど、凛斗お兄ちゃんは一度もうちへ来たことがなかった。

大学が忙しいからと、叔父さんからは聞いていたけれど―――

お兄ちゃんが大学へ行き始めたのは2年前。

2年間も、どうして一度も会いに来なかったんだろう。

叔父さんの家へ遊びに行きたいとあたしが言っても、パパもママも困った顔をするだけで。

叔父さんもあからさまに困った顔をして『仕事でいないことが多いから』と言っていたから、そのうちあたしも言うのを止めたんだ・・・・・。

初めて足を踏み入れる叔父さんの家。

昔の叔父さんの家は覚えていないけれど。

それでも、どこか懐かしいにおいがする気がした――――。
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