王子様はカリスマホスト
「そうか、ピンドンを―――」

店の事務所のソファーで、叔父さんは溜め息をついた。

お兄ちゃんは壁にもたれ、腕を組んで立っていた。

「ごめんなさい」

「いや―――けど、ここで唯菜ちゃんを働かせるわけにはいかないよ。ここがどういう店か、わかってるだろう?」

「でも」

「弁償なら、僕がする。僕は君の保護者だからね。だから君は―――」

「そんなのダメ!」

あたしは、叔父さんの言葉を遮って叫んだ。

「そんなの―――叔父さんに、そんな迷惑かけらんない」

お兄ちゃんが、ちらりとこちらを見た。

「唯菜ちゃん―――」

「あたし、ちゃんと働くから。絶対お客さんに見られないようにして、掃除とかなんでも―――だからお願い。ここで働かせてください。そうじゃなかったら―――」

「そうじゃなかったら?」

「30万、すぐ稼げるような仕事、自分で探す。キャバクラとかなら、そのくらいすぐ稼げるんでしょ?」

あたしの言葉に、叔父さんがぎょっとする。

「あほか。お前みたいな女子高生、キャバクラで働けるわけねえだろ」

お兄ちゃんの呆れたような言葉に、あたしはそっちを見ずに口を開く。

「年なんて、ごまかせるでしょ?制服着てなければ、そんなのなんとでもなるもん」

「だ、だめだよそれは!唯菜ちゃんにそんなことさせられるわけない!」

慌てて立ち上がる叔父さんを、あたしはじっと見つめて。

「じゃあ、ここで働かせてください」

そう言ったあたしを、叔父さんは困ったように見つめ―――

大きな溜め息をついたのだった―――。

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