王子様はカリスマホスト
俺が彼女の傍を離れた時、彼女はまだ6歳。

子供の幼い恋だなんて、馬鹿にはされたくない。

俺はいつだって本気だから。

俺は他人と関わることがあまり上手くない。

昔から女にはもててたけど、その分男には嫌われた。

色白の肌と華奢な体。

よく女の子みたいだと馬鹿にされてた。


『お前なんでスカートはいてこねえーんだよ、女みたいな顔してるくせに』

クラスでは評判の乱暴者。

いつも数人の悪がきをひきつれて歩いてるやつだ。

『女にもてるからっていい気になんなよ!』

くだらない。

俺はいい気になったことなんて一度もない。

だけど俺は黙ってた。

余計な争い事はしたくなかったから。

その時―――

『お兄ちゃんをいじめるな!』

突然現れた唯菜。

乱暴者のガキの体をどんと押した。

『な、なんだよこいつ!』

『お兄ちゃんをいじめちゃダメ!』

『ふん!こんなガキにかばってもらってやんの!やっぱりお前は女だな!』

『違う!お兄ちゃんは女の子なんかじゃない!お兄ちゃんは強くて、優しいんだから!本当に強い人はけんかなんかしないんだって、パパが言ってたもん!お兄ちゃんをいじめてるあんたのが弱虫だ!』

『な―――何だと、この野郎!』

そいつが唯菜に殴りかかろうとして。

俺は慌てて唯菜の手を掴み、走った。

そうして逃げてる間にも、唯菜は泣きながら叫んでいた。

『お兄ちゃんは女の子なんかじゃない!お兄ちゃんは、王子様だもん!』
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