王子様はカリスマホスト
用意された部屋は、8畳一間の広々とした洋間だった。

セミダブルのベッドはきちんとベッドメイキングされていて、まるでホテルか何かのようだった・・・・・。

「この部屋って、誰かが使ってるんですか?」

きれいに掃除はされているけれど、どこか人のぬくもりのようなものを感じた。

「たまに、凛斗の友達が使うくらいだよ。これからは唯菜ちゃんの部屋として自由に使っていいから」

あたしはその部屋の中をじっと見つめていたけれど―――

「―――叔父さん」

「なんだい?」

「学校は・・・・・」

まだ一度も行っていないけれど。

学校には、行けるんだろうかと気になった。

「ああ、ここからだとちょっと遠くなるね。でも40分くらいで着くだろう」

「行って・・・・・いいんですか?」

あたしの言葉に、叔父さんは目を瞬かせた。

「あ、当たり前だろう。せっかく一生懸命勉強して合格した高校だろう?ちゃんと行って、卒業しなくちゃ!学費のことは、心配しなくていいよ。ちゃんと聡介が積み立てをしていたお金があるからね」

積み立て、してたんだ―――。

何も知らなかったあたし。

当たり前に学校へ通って、当たり前に受験して―――当たり前に、高校に行くつもりだった―――。

でも、当たり前のことなんかじゃなかった―――。

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