透明な私
“ここのお店に来てたんだ。久しぶりだね?”
「そうだね?」と軽く
言葉を返した。
今さら何だろう。
“私、結婚したの”
愛菜の言葉を聞き驚いた
宏紀が死んでしまったから仕方ないかもしれないけど、許せないと思った。
“私、知ってたの。
宏紀と美里の事”
美里なんて呼ばれたのは
何年ぶりだろうか。
最後に呼ばれたのは
宏紀と関係を持った日。
それ以来、私を美里と
呼ぶ人はいない。
佐藤さんですら私を
立花さんと呼ぶ。