アイスクリーム
「悪いな。でも仕方ないんだよ。仕事だから」
仕事…。
「…わかった。でも条件があるの」
「なんだ?」
「あたしのこと嫌いでもいいから…あたしの彼氏になって?」
雪斗はパッと目を開いた。もしかして…
「思い出した…前もそんなこと言って付き合ったよな…」
あ…やっと思いだしてくれた…。
14歳の時あたしが雪斗の車の鍵を隠した。
「どこやったんだ。はやく返さないと外に放り出すぞ」
「それはやめてよー…返すから…でも条件があるの」
「なんだ?」
「あたしの彼氏になって?そしたら返してあげるよ」
「…わかった」
こんな…強制的なことはしたくなかった。
でもしなきゃ雪斗は彼氏になってくれないと思ったんだ。
「わかった…彼氏になるよ」
「…うん。じゃあ妹ね。あたし」
これからあたしは雪斗の妹であり彼女である。
それはどちらも嘘なんだ。
「キスしてって言ったらキスしてくれるの?」
「…しないよ。キスは好きな人としたいからな」
「未来さんとはした?」
「したよ」