チ イ サ ナ ヒ ト ツ ブ【思集 2】
乗馬
どうどうどう
ひひん、と馬は鳴く
脚を止めようとしてるのか
先へ進めとせがんでるのか
足踏みをしながらも
首を振り、身体を曲げる
どうどうどう
主人は首筋を叩く、撫でる
飼い慣らそうと手綱を引き
操ろうとしなる鞭を振るう
進む方向を確認しつつ
掌から意識を伝える作業
どうどう、と伝える意志
ひひひん、と伝える意志
だがしかし馬には伝わらず
そしてまた馬から伝わらず
抗う脚
鞭振る腕
互いの“抵抗”は砂埃と
汗にまみれては絡まる
しまいには方向すら見失い
馬脚を露す
どうどうどう
伝達の不器用、己の中の絵
どうどうどう
思考と試行、その葛藤の表現
出来れば互いに抗わなず
ゆるりと乗りこなしたい
人間万事塞翁が馬
笑夜