チ イ サ ナ ヒ ト ツ ブ【思集 2】
過ぎる一日、積む歳月
深夜に雑考を書き留める為に端末を手に取る。
忘れない為と自分を見つめる習慣。
空いた隙間にまたモノを埋める。
親指一つで繋がる世界は限りないと思わせるに足る広さだ。
端末が零す灯りはほんのりと俺の顔を照らすが、その顔に明るさがない事は俺が良く知っている。
全てが詰まっている様に見えて、何一つ真実が見つからない憂鬱。
引き返すのが不可能な過去と、なまじ選り好み出来る立ち位置なは悩み出すとキリがない。
結果によって確定される真実は、如何に先回りで教えを受けてもそれは灰色。
濃淡の違う灰色が目前を埋め尽くし、過ぎる足元に黒と白の残骸が散らばる。
この灰色の見え方によって一喜一憂するんだろうが、もう俺の目には全てが同じ濃淡にしか見えない。
黒の主張と白の主張。隙間の窮屈に堪えたら、ついどちらかに染まりたくなる心理がポロリ。
この端末に詰め込むモノはあまりに多すぎて溺れてしまいそうだ。
暗い顔を照らす灯りに違和感を覚え、偽物の光を閉じよう。
今は月明かり位がいいかも知れない。
そう思うと、眠気が感じられそうな気がしなくもない。
過ぎる一日、積む歳月。
一貫性を大切に柔軟である事。
答えの無い問いは常に胸に。
あの月が見えてるかい?
俺も見てるよ。