サヨナラを言わないで
プロローグ
出逢ったあの日のこと
覚えてるかな?
あなたは私のこと
知らなかったかもしれない
けど
私は覚えてるよ
「おはよ!千春」
「あ!おはよー真仔」
張り出されたクラスの組分け表の前。
人混みの中から手を振っている真仔を見つけた。
私は西野千春。今日から中学3年生。
今までの2年間の中学校生活、それなりに充実した生活だった。
けれど、恋をしたことがない。
かっこいいなぁ・・・とか、少し気になった人ならいたけれど、恋と言えるほどに人を想ったことがなかった。
何か得意な事があるわけではなく、カワイイと言われるほどの容姿でもない。
「やったぁ!一緒のクラスだよ」
「よかったぁ」
それに比べて、こっちの川上真仔は、顔良し、スタイル良し、頭良し、運動も出来る。
まさに才色兼備と言える容姿の持ち主だ。
ここ第一中の三代美女のうちの1人でもある。
だからといって性格が悪いわけではない。むしろ優しすぎる。
真仔は自分の事以上に、人を思い、人の幸せを願うことが出来る。
そんな真仔を、私は大好きだ。
親友でいられることをすごく誇りに思う。
「行こー、千春。席決まってるって」
「うん。行く行く」
先に行く真仔に続いて、私も教室に入る。