「「キミに…」」 (梓&由浩)
「凄い活躍だよね」
笑えていないのが、
自分でもわかる。
普通に言いたいのに声が震える。
「……ぁ、……」
しまいには声が小さくなる。
『先輩?? 「おーい梓まだぁ??」』
いきなり拓巳の大きな声が
秋山の声を遮った。
『あ、先輩今一言じゃなかったんですか!!
すみませんじゃぁ切りますね』
「ぁ、ごめんね?」
『全然ですよ。
じゃぁまた明日』
秋山は明るく電話を切った。
後ろを見ると、
『やって当たり前』な顔をしている拓巳。
「ありがとう」って言うと拓巳は
フンッっと言って顔を逸らした。
「あ、酒無くなった。
拓巳買いに行くぞ」
「はぁーい
ぁ、でも金は払わないッスよ?」
「ハイハイ」
拓巳と雅也先輩が出ていった瞬間、
大粒の涙が零れた。